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投資哲学

なぜ日経平均は急落したのか|相場が荒れるときこそ、俯瞰して考える

2026年9月の日経平均急落の要因を整理したアイキャッチ画像

📋 この記事でわかること

  • 2026年9月に日経平均が急落した背景を、5つ+1つの要因に整理して俯瞰する
  • 「中東情勢 → 原油高 → インフレ・金利」という連鎖が、なぜ株価の逆風になるのか
  • これが「暴落」なのか、上げ相場のあとの「調整」なのか、私なりの見方
  • 下げが続くなら、それは買い増しのチャンスでもある——ただし守りたい3つのルール

こんにちは、投資家ケンです。

ここ数日、日経平均が大きく下げています。9月2日は1日で1,889円安(約2.9%下落)、その後もじりじりと続落しました。今年に入ってから日本株は比較的好調だっただけに、今回の下げで不安を感じている方も少なくないと思います。

私自身も、この下落で含み益がずいぶん減りました。正直、口座を開くのが少し億劫です。

それでも、こういうときこそ、目の前の株価だけを見るのではなく「なぜ下がっているのか」を一歩引いて眺めることが大事だと思っています。今日はその整理と、私がいま考えていることを書きます。

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今回の下落に重なった要因を整理する

株価は、たいてい一つの理由だけで動きません。今回も、いくつかの材料が同じタイミングで重なりました。順番に見ていきます。

① 中東情勢の悪化と、原油価格の上昇

今回いちばん大きなきっかけになったのが中東情勢です。米軍によるイランへの空爆が伝わり、原油価格が数週間ぶりの高値まで上がりました。

原油高そのものより、そこから先の連鎖が意識されます。

原油高 → ガソリン・輸送費・製造コストの上昇 → インフレ再燃への懸念 → 中央銀行が利下げしにくくなる → 金利上昇 → 株価の割高感が強まる。

この一本道が市場のあたまにあるので、原油が上がると株が売られやすくなります。

② 米国の長期金利の上昇

もう一つの大きな材料が、米国の長期金利です。米10年債の利回りは一時4.8%近くまで上がり、約3年ぶりの高い水準になりました。

金利が上がると、株よりも安全な債券の魅力が相対的に高まります。とくに影響を受けやすいのが、PER(株価収益率)の高いハイテク・成長株です。

「将来大きく稼ぐ」ことを期待されている会社ほど、いまの金利が上がると、その“将来の利益”の現在価値が低く見積もられます。だから金利上昇局面では成長株が売られやすい。教科書どおりの動きです。

③「中央銀行は簡単には利下げできない」という警戒

米国では、9月に入って発表された製造業の景況感(ISM)や求人件数(JOLTS)が市場予想を下回り、景気の減速感が出ていました。本来なら「利下げ期待」で株に追い風です。

ところが、そこに原油高が重なったことで「せっかく落ち着いてきたインフレが、また上がるのでは」という警戒が強まりました。インフレが再燃すれば、中央銀行は利下げを急げません。

景気は弱いのに、金利は下げにくい。この居心地の悪い組み合わせが、株価の重しになりました。

④ 日本株には「円高」と「日銀の利上げ観測」が上乗せされる

日本株の場合、米国とは少し違う材料も加わります。

一つは円高です。この夏は160円を超えていたドル円が、日銀の利上げ観測を受けて一時155円台まで円高に振れる場面がありました。円高になると、海外で稼いだ利益を円に換算したときの金額が小さくなるため、自動車・電機・機械・半導体関連などの輸出企業には逆風です。

もう一つが日銀の金融政策です。市場では9月か10月の会合での追加利上げが意識されていて、日本の新発10年国債の利回りは一時3%を超えました。これは1996年以来の水準です。「金利のある世界」が、想定より速いペースで戻ってきているのかもしれません。

⚠️ 日銀の利上げは「悪いこと」だけではありません。銀行や保険には追い風ですし、預金に少し利息がつく世界は健全でもあります。ただ、これまで「低金利」を前提に買われてきた資産にとっては、いったん見直しが入りやすい、という話です。

⑤ AI・ハイテク株にも「選別」の動き

もう一つ、個人的に興味深いのがAI関連株です。

これまでは「AIに関係していれば買われる」という流れが強かった。でも、AIの進歩がすべての会社にプラスとは限りません。AIで業務効率が上がる会社もあれば、AIによって既存のソフトやサービスの需要を奪われかねない会社もあります。

「AIで利益を得る会社なのか、AIに利益を奪われうる会社なのか」——この選別が、少しずつ意識され始めているように見えます。ひとくくりの“AIブーム”から、会社ごとの中身を見る相場へ、静かに変わりつつあるのかもしれません。

⑥ 需給:買い持ちが膨らんでいたところに、投機の売り

ここまでの①〜⑤は「理由」ですが、下げ幅を大きくしたのは需給(売り買いのバランス)の面もあります。

今年ここまで日本株が上がる過程で、投資家の買い持ち高はかなり膨らんでいました。報道では信用の買い残高が9兆円規模とされています。そこへ地政学リスクという“口実”ができたことで、ヘッジファンドなどの短期マネーが売りを仕掛けやすくなった、という指摘があります。

買いが積み上がっているときの急落は、値幅が出やすい。市場では「2回目の売り崩し」への警戒も残っています。

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今回の下落を、一言でまとめると

私なりに整理すると、こうなります。

「中東情勢の悪化による原油高をきっかけに、インフレ・金利への懸念が強まり、そこに円高・日銀の利上げ観測・AI株の選別、そして膨らんでいた買い持ちの巻き戻しが重なった調整」

連鎖のかたちにすると、こんなイメージです。

今回の下落の“連鎖” 中東情勢の悪化 原油価格の上昇 インフレ再燃 への懸念 利下げしにくい → 金利上昇 株の割高感 株価の下落 日本株はさらに 円高・日銀利上げ観測 + 膨らんでいた買い持ちの巻き戻し (投機的な売り・第2波への警戒)

株価は、こうした材料が複雑に絡み合い、そこに投資家心理が乗って動きます。だからこそ、短期の値動きだけを見ていると、どうしても振り回されてしまいます。

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これは「暴落」なのか?

ここは冷静に見ておきたいところです。

今回の下げは、決して小さくありません。数日で数千円規模の下落は、体感としてもきついです。

ただ、数日間の下げだけを見て「相場が完全に崩れた」と判断するのは、私は早いと思っています。今年ここまで大きく上げてきたのなら、どこかで利益確定や調整が入るのは、むしろ自然です。上げてきた相場ほど、調整の値幅は大きくなりがちです。

最近は株価の振れ幅(ボラティリティ)そのものが大きくなっているので、含み益が一気に減ると精神的な負担も大きい。「このまま下がり続けるのでは」「いま売ったほうがいいのでは」——そう感じるのは、無理もないことだと思います。

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それでも私は、「企業を見る」ことを忘れたくない

私が長期投資で大事にしているのは、株価を当てることではありません。その会社が、

  • きちんと利益を出しているか
  • 財務は健全か
  • キャッシュを生み出しているか
  • 配当を無理なく維持・増配できるか
  • 10年後、20年後も必要とされる事業か

こうした点を自分なりに確認したうえで、「この会社なら長く付き合える」と判断して買う。それだけです。

だから株価が下がったときに大事なのは、ただ「握力強く売らない」ことではないと思っています。「なぜこの株を買ったのか」を思い出すこと。ここが出発点です。

会社そのものに問題がないのに、相場全体の影響で下がっているなら、長期投資家にとってそれは必ずしも悪い話ではありません。むしろ、優良企業を安く買える機会になりえます。

一方で、下落の原因が業績の悪化や競争力の低下——つまり会社の中身なら、話は別です。「増配は結果であって、約束ではない」というのは、私がジャックスの損切りで学んだことでした。

だから私は、「下がったから持つ」のではなく、「調べた結果、まだ持つ理由があるから持つ」という姿勢でいたいと思っています。

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下げが続くなら、それは買い増しのチャンスでもある

ここからは、少し前向きな話です。

今回のように、下落の主な理由がマクロ(中東・金利・為替)で、個別企業の中身が痛んでいるわけではないなら、株価が下がるほど、優良企業を安く仕込めるということでもあります。配当株で言えば、株価が下がると配当利回りは上がります。同じ会社を、去年より高い利回りで買えるかもしれない。

私自身、下げが続くようなら、狙っていた銘柄を少しずつ買い増していくつもりです。ただ、そのときに自分へ課しているルールがいくつかあります。

  • 「持ち続ける」と「買い増す」は別の判断。すでに持っている株を握るのと、新しいお金を投じるのは、別の問いです。買い増しの前には、増配ペース・配当性向・直近の利益の向き、この3つは下げ相場でも省略しません(詳しくはこちらの記事)
  • 一括では買わない。数回に分ける。どこが底かは誰にも分かりません。「もう一段あるかも」を前提に、数回に分けて買う。1回で決めない
  • 現金を使い切らない。第2波への警戒が残っている以上、次の下げでも動ける余力を残しておく。全部使った翌日にさらに下げると、いちばん精神的にこたえます
  • ストーリーが崩れた銘柄はナンピンしない。「安くなったから」だけで、業績が痛んでいる会社を買い足すのは、別の失敗です
  • 毎月の積立は、何があっても淡々と続ける。私の場合、NISAの月10万円は相場が荒れていても止めません。むしろ下げているときの積立が、後で効いてきます

個人的には、「怖くて何もできない」ときこそ、少額でもいいから、決めていたルールどおりに動けるかが分かれ目だと思っています。大きく賭ける必要はありません。

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相場が荒れているときほど、時間を味方につける

投資をしていると、どうしても毎日の株価が気になります。上がれば嬉しいし、下がれば不安になる。これは仕方のないことです。

でも長期投資で本当に大事なのは、今日の株価が何%動いたかではありません。その会社が10年後、20年後も利益を生み続けられるか。そして、自分がその会社を信頼できるか。私はそこを見るようにしています。

長い下落局面に耐えないといけないこともあります。そのときに、自分で企業を調べて「この会社なら大丈夫」と納得できているかどうか。そこが分かれ目になると思っています。

📌 まとめ

  • 今回の下げは、中東情勢 → 原油高 → インフレ・金利への懸念、というマクロ要因に、円高・日銀の利上げ観測・AI株の選別・買い持ちの巻き戻しが重なった調整
  • 株価が大きく下がっても、企業の価値まで同じだけ下がったとは限らない
  • 大事なのは「なぜこの株を買ったのか」を思い出すこと。中身が無事なら持つ、痛んでいるなら見直す
  • マクロ要因の下げなら、買い増しのチャンスでもある。ただし「持ち続ける」と「買い増す」は別判断/分割で買う/現金を残す/崩れた銘柄はナンピンしない/積立は止めない
  • 相場が荒れているときの握力は、我慢ではなく「調べて納得した」という確信から生まれる

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本記事は情報提供・個人の記録を目的としており、特定の銘柄・商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。相場の見通しや要因の解釈は記事作成時点(2026年9月)での筆者個人の見解であり、正確性・将来の結果を保証するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。