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投資哲学

株高で指値が刺さらない。それでも私が「価格を上げない」を選んだ理由|7月の指値見直し実録

この記事でわかること

  • 日経株高で発注中の指値8本の約定確率がどれだけ下がっていたか(実数値)
  • 「価格を上げた銘柄」と「期限だけ延ばした銘柄」を分けた理由
  • 指値を追いかけることが高配当戦略にとってなぜ危険なのか
  • 約定確率1.8%→50.2%まで改善した実際の指値見直しの中身

ねぇねぇ、今日ちょっと面白いことがあったので聞いてほしいんです。発注していた指値、ほぼ全部刺さらなくなっていました。

原因は単純で、株が上がりすぎたんです。7月に入って日経平均は高値圏を維持していて、私が「このくらいなら安く買えるだろう」と思って入れていた指値が、現在値からどんどん置いていかれる形になっていました。

今日はその実況と、「じゃあ指値を上げるべきか、上げないべきか」を実際にどう判断したかを、数字ごと全部書きます。

まず現状把握:8本の指値、約定確率を計算してみた

高配当株投資は「買いたい水準まで待つ」のが基本なので、指値を入れたまま放置しがちです。でも放置しすぎると、いつの間にか「絶対に刺さらない指値」を後生大事に抱えているだけ、ということが起きます。

そこで今日は保有ツール(過去3年の値動きから残存期間内の約定確率を推定するスクリプト)で、発注中だった指値を全部チェックしました。

銘柄 指値 現在値比 約定確率
KDDI(9433) ¥2,600 -6.4% 1.8%
KDDI(9433・2段目) ¥2,650 -4.6% 15.8%
アイカ工業(4206) ¥3,400 -8.7% 0.1%
クレスコ(4674) ¥1,400 -8.4% 4.8%
乃村工藝社(9716) ¥1,050 -6.4% 12.7%
花王(4452) ¥3,130 -5.2% 16.7%
MS&AD(8725) ¥4,160 -8.2% 9.9%

見てわかる通り、KDDIとアイカ工業は約定確率1桁台の前半、いえ1.8%・0.1%というほぼ「お守り」状態でした。前回(7/2)にはKDDIの一部指値は50%帯まで来ていたので、この5日間の株高でどれだけ地合いが変わったかがわかります。

「じゃあ全部の指値を引き上げよう」とはならない理由

普通に考えたら「刺さらないなら価格を上げればいい」となりそうです。でも高配当株投資って、指値の水準そのものが投資の根拠なんですよね。

私の指値には、だいたいこういう理屈が乗っています。

「この価格なら配当利回り○%が取れる。だから欲しい」

株価に指値を追随させるということは、この根拠になっている利回りをどんどん削っていくということです。極端な話、指値を現在値まで引き上げれば100%約定しますが、それは「高い時に高く買う」のとほぼ同義になってしまう。

「間違える前提の戦略」を掲げている私にとって、これは一番やってはいけないことです。 高値掴みを避けるために指値を使っているのに、指値そのものを高値に寄せてしまったら本末転倒ですから。

実際にやったこと:上げた銘柄2つ、上げなかった銘柄2つ

数字だけ見て機械的に判断するのではなく、「なぜその銘柄が欲しいのか」に立ち返って、銘柄ごとに対応を変えました。

① 上げた銘柄:KDDI・MS&AD(利回りラインの余裕を確認してから)

銘柄 変更前 変更後 変更後の利回り 理由
KDDI(9433) ¥2,600 ¥2,700 約3.1% 24期連続増配・3%ラインをまだ死守できる水準
MS&AD(8725) ¥4,160 ¥4,280 約3.27% スクリーニング1位が7週連続という強い裏付け

KDDIは¥2,700に上げても利回り3.1%を確保できると事前に計算してから動きました。MS&ADは直近7週間、機関投資家グレードのスクリーニングで首位を譲っていない銘柄です。「欲しい理由」の確信度が高いので、ここは多少価格を寄せてでも取りに行く判断をしました。

結果、約定確率はKDDIが1.8%→50.2%、MS&ADが9.9%→23.6%まで改善しています。

② 上げなかった銘柄:クレスコ・アイカ工業(期限を延ばしただけ)

一方でクレスコとアイカ工業は、価格は1円も変えていません。やったのは「注文の期限を延長した」だけです。

銘柄 価格 変更内容 約定確率の変化
クレスコ(4674) ¥1,400(据え置き) 期限を7/16→7/29へ延長 4.8%→19.4%
アイカ工業(4206) ¥3,400(据え置き) 期限を7/15→7/29へ延長(ローリング運用) 0.4%→1.7%

これ、地味ですが結構好きな考え方で。期限を延ばすのはタダなんですよね。価格を上げるのは利回りという対価を払っていますが、期限延長はコストゼロで約定確率を底上げできます。クレスコは価格を一切妥協せずに約定確率を4倍まで引き上げられました。

アイカ工業だけは、利回り4.1%ラインを死守する方針で¥3,400を固定しているので約定確率は1.7%のままです。ここはSBIの発注可能期間の上限(約21日)が来るたびに、同じ価格でひたすら再発注を繰り返す「ローリング運用」で待ちます。約定確率1%台は、正直かなり低いです。でも「安く買えるまで待つ」という当初の目的からブレたくないので、ここだけは我慢比べです。

待つコストは、思っているより小さい

指値を上げたくなる気持ちの根っこには「このまま逃げられたらもったいない」という焦りがあると思います。でも冷静に考えると、指値が刺さらないあいだ、そのお金は現金のまま待機しているだけで、損をしているわけではありません。

強いて言えば「その間の配当をもらい損ねている」機会損失はありますが、拘束している資金は今回の8本合計でも数百万円規模。年間配当に換算すればごくわずかです。それより「高値で買って、その後の下落局面で身動きが取れなくなる」ほうがずっと痛い。

株が上がって指値が刺さらないのは、見方を変えれば「市場が今は割高だと教えてくれている」サインでもあります。慌てて価格を追いかけるより、その声を聞く方が、長期では得だと思っています。

今の相場と私の感覚

今回、指値がことごとく逃げていったのも、結局「強気は強気だけど、値動きの荒さは受け入れる」という今の空気そのものだと思うんですよね。

為替は円安基調が続きやすくて、輸出企業には追い風。ただ急激に振れると政府・日銀が出てくるリスクもあるので、そこは織り込んでおきたいところ。トランプ関税も、市場はもうある程度消化し始めていて、今後は「関税そのもの」より各企業の対応力に注目が移っていく気がしています。インフレ・賃上げも続きそうだけど、日本経済がいきなり崩れるシナリオは今のところメインじゃない。原油高・地政学リスクだけは注意しておきたいところですが。

こういう地合いだからこそ、指値を焦って追いかけないというこの記事の結論は、今の自分にはしっくりきています。

まとめ

  • 株高で発注中の指値8本のうち複数が約定確率1桁台まで低下していた(KDDI1.8%・アイカ0.1%など)
  • 「指値を上げる」=「投資根拠である利回りを削る」ことなので、機械的な引き上げはしない
  • 上げたのはKDDI・MS&ADの2銘柄のみ。利回り3%ラインを確保できると確認したうえでの判断
  • クレスコ・アイカ工業は価格を据え置き、期限延長だけで約定確率を底上げ(クレスコは4.8%→19.4%まで改善)
  • 待つコストは小さい。焦って高値を追いかけるより「市場が高いと言っている」サインとして受け止める

指値が刺さらない相場のときこそ、「なぜこの株が欲しいのか」に立ち返る良い機会だと思っています。全部上げたい気持ちはあるんですけどね(笑)。

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