今日は、なぜ住友商事を持ち続けているのかを考えてみます。
📋 この記事でわかること
- 住友商事(8053)を、なぜ・どんな気持ちで持っているか
- 利益と配当の5年の動き、通期の利益の中身(図つき)
- 配当はどのくらい安心か(会社の公式資料で確認)
- 「今から新しく買うなら?」と「いま持っている株をどうするか」は別の話、という整理
こんにちは、投資家ケンです。
「商社株って、どれを選んでも同じに見える」。正直、私もそう思っていた時期があります。
今回は「株の銘柄図鑑」シリーズで、私が保有している住友商事(8053)です。保有に至った経緯と、数字の見方を、決算短信で確認しながら記録します。
証券コード8053/セクター:卸売業(総合商社)/保有:1,200株(分割後・平均取得単価818円・特定口座)
数値は2026年3月期の決算短信(2026/5/1)と2027年3月期第1四半期の決算短信(2026/7/31)、会社IRの公開情報で確認しています。株価は2026年10月12日時点(私の保有記録)を使っています。
—
なぜ住友商事を買ったのか
買った理由は、私の言葉だとこうです。
「商事会社の中で当時、割安で配当も高かったため選びました。他の商事との違いも含めて示して良い面を考えていたと思います」
当時、他の商社とどんな数字を並べて比べたのか、具体的な記録は残っていません。なので「あの時こう比べた」とは書きません。ここで確かなのは、割安さと配当の高さで選んだという一点です。
いまの住友商事の業績や配当方針を、あとから「買った理由だった」と言うつもりもありません。当時の理由と、いまの姿は、別々に書いていきます。
保有は4分割後の数字で1,200株、平均取得単価は818円です(分割前は300株・3,269円)。
—
私はいま、この会社をこう見ている
株価はいま、買った頃の約2倍です(1,708円・10/12時点/818円→約2.1倍)。でも、売ろうとは思っていません。
「長期保有が前提なので今は考えていない」
ただし「永久に持つ」と約束したわけではありません。何が起きたら考えを変えるか、についてはこう思っています。
「一時的な業績悪化なら気にしないし、配当を維持する力そのものが弱くなったら売却も検討する」
「一時的な減益」と「稼ぐ力そのものの低下」は、分けて見たい。減配が一度あっただけで機械的に売る、という決まりを作っているわけでもありません。
⚠️ 気になっている点:2027年3月期の第1四半期は、税引前利益が前年同期比−27.6%なのに、最終利益は+11.2%でした。差の大きな理由は、法人所得税が+450億円のプラス(マダガスカルのニッケル事業の売却に伴う税効果)になったことです(決算短信)。最終利益の増加を、そのまま「稼ぐ力が上がった」と読まないようにしています。
—
一言で言うと、どんな会社?
住友グループの総合商社です。1919年設立。鉄鋼・自動車・輸送機・都市開発・資源・化学品・デジタルなど、いろいろな事業に少しずつ根を張っている会社です。連結で約8万人(東洋経済 会社四季報・2026/9/16作成)。
—
何で稼いでいる会社?(利益の中身)
商社は「モノを右から左へ」だけの会社ではありません。事業に出資して、その会社の利益を受け取る(持分法利益)のが大きな柱です。2026年3月期の持分法投資損益は2,667億円で、税引前利益7,020億円のうち大きな割合を占めます。
では、2026年3月期(通期)は、どのグループが利益を作ったのか。三菱商事と同じ期間(2026年3月期)で比べるため、通期のグループ別の利益を並べます。
※親会社帰属利益。9グループの合計は5,669億円で、別に「消去又は全社」+335億円があり、連結の6,003億円になります(出典:26/3期決算短信 3ページ)。
最も大きいのはエネルギー・トランスフォーメーション(1,024億円)、次いで輸送機・建機(889億円)、資源(823億円)、都市総合開発(815億円)。特定の1つの柱に寄りかからず、利益が分散しているのが住友商事の特徴です。資源は9グループ合計の約15%(823÷5,669・私の計算)です。
⚠️ 利益の構成比は、そのまま「恒常的な稼ぐ力」ではありません
グループ別の利益には、売却益や特殊な利益、前年の反動が入っています。短信の増減要因には、たとえば次のような記載があります。
- 鉄鋼:当期に資産入替に関連する利益
- 自動車:マイダス社の売却益。一方で、インドネシア自動車金融事業での不良債権の一括処理
- 輸送機・建機:前期の航空機リース事業の特殊利益の反動で減益
- エネルギー転換:電力EPC案件での特殊利益
- ライフスタイル:メロン事業の不調と売却損(−36億円)
この1年の構成比だけで「どの事業が本当の稼ぎ頭か」とは言えません。
増益の中身:税効果の寄与が大きい
2026年3月期の親会社帰属利益は5,619億円→6,003億円(+385億円・+6.8%)でした。内訳を短信で見ると、次のとおりです。
| 項目(億円) | 25/3期 | 26/3期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 税引前利益 | 6,956 | 7,020 | +64(+0.9%) |
| 法人所得税費用 | △866 | △517 | +349(繰越欠損金等に対する税効果計上) |
| 9グループの利益合計 | 5,664 | 5,669 | +5 |
| 消去又は全社 | △45 | +335 | +380(繰越欠損金等に対する税効果計上) |
| 親会社帰属利益 | 5,619 | 6,003 | +385 |
つまり、税引前利益はほぼ横ばい(+0.9%)、9グループの合計も+5億円で、増益の大部分は「消去又は全社」の税効果(+380億円)でした。短信には、SCSKがグループ通算制度に加入する見込みになり、繰越欠損金などに対して繰延税金資産を新たに認識して、法人所得税費用に304億円の利益を計上した、との記載もあります(会計上の見積りの変更)。
これは、事業が急に稼ぎやすくなったという話ではなく、主に税金の計上の仕方による増益です。「2期連続の増益」を、そのまま稼ぐ力の上昇とは読まないようにしています。
—
利益と配当は、この5年でどう動いた?
24/3期は利益が前期比で約−32%(短信では−31.7%)(5,653億円→3,864億円)と大きく落ちましたが、1株配当は28.75円→31.25円へ増えています(会社IR)。利益は年ごとに上下し、配当は5年間ずっと右肩上がり、という違いが見えます。ただし、26/3期の利益の増加は主に税効果です(前の節)。
出典:利益(親会社帰属)=26/3期・25/3期は26/3期決算短信。24/3期(386,352百万円=3,864億円・前期比−31.7%)は会社IRの24/3期決算短信(2024年5月2日)の原本で確認。23/3期(565,333百万円=5,653億円)は同短信の前期欄の値で、会計基準(IAS第12号)の遡及適用後の数字です(2023年5月9日公表時は565,178百万円=5,652億円)。22/3期(463,694百万円=4,637億円)は2023年5月9日公表の23/3期決算短信で確認。27/3期は会社予想(1Q決算短信)。配当=会社IR「株式情報」。
- 利益は4,637億円(22/3期)から6,003億円(26/3期)へ(私の計算で約+29%)。ただし24/3期は3,864億円と落ち込んでいます(落ち込みの要因は、有価証券報告書の原本でまだ確認していません)。
- 1株配当は27.5円から37.5円へ(私の計算で約+36%)。利益が落ち込んだ24/3期にも、28.75円→31.25円と増えています。
- 26/3期の増益の中身は、前の節のとおり主に税効果です。
三菱商事と並べると、何が違う?
私は商社株を「住友商事と三菱商事の2社」に絞っています。理由は、私の言葉でこうです。
「事業内容や収益の安定性などに違いを感じています。他の商事企業も気にはなっていますし、違いを検討しますが、商事企業ばかりも良くないとこの2企業としています」
2026年3月期の決算短信で、2社を並べるとこうなります。
| 住友商事 | 三菱商事 | |
|---|---|---|
| 親会社帰属利益(26/3期) | 6,003億円(前期比+6.8%) | 8,005億円(−15.8%) |
| ROE(26/3期) | 12.9% | 8.5% |
| 自己資本比率(26年3月末) | 33.9%(前期40.0%) | 39.1%(前期43.6%) |
| 配当性向(26/3期・連結) | 30.1% | 52.2% |
| 27/3期の利益予想(前期比) | 6,300億円(+4.9%) | 1兆1,000億円(+37.4%) |
| 決算に含まれる一時的な要因 | 繰越欠損金等に対する税効果(「消去又は全社」+335億円・短信) | 銅事業での過年度の減損戻入れ、LNG北米事業の生産開始に伴う税効果など(短信) |
出典:両社の26/3期決算短信(2026/5/1)と第1四半期決算短信(住友7/31・三菱8/6)。どちらの利益にも一時的な要因が含まれます。
この違いを、レーダーチャートにしてみました。
この図の見方(必ずお読みください)
- 目的は、2社の「特徴の違い」を見ることです。面積の大きさで、どちらが良いかは決めません。
- 図には住友商事と三菱商事の2社だけを描いていますが、各軸の基準は7社共通です(下の計算式)。
- 「配当性向の低さ」は、配当性向が低いほど外側になるようにした参考の指標で、配当の安全性そのものではありません。配当を支える力は、利益の安定性やキャッシュフローとあわせて見る必要があり、「配当は安心して持てそうか」の節で説明しています。
- 「来期の増益見通し」には、前期の一時的な要因(住友商事の税効果など)や、前期の落ち込みからの反動(三菱商事は26/3期が−15.8%)が含まれます。決算の数値には、一時的な要因が含まれます。
※「0」は能力や価値がゼロという意味ではなく、7社の中で最も小さい値という位置を示します(「100」は最も大きい値)。たとえば三菱商事のROEが0なのは、7社の中でROEが最も低いという意味です。
| 図の軸 | 実際の指標 | 住友商事(相対値) | 三菱商事(相対値) |
|---|---|---|---|
| 利益の大きさ | 親会社帰属利益(26/3期) | 6,003億円(62) | 8,005億円(87) |
| 資本を稼ぎに変える力 | ROE(26/3期) | 12.9%(72) | 8.5%(0) |
| 財務の厚み | 自己資本比率(26年3月末) | 33.9%(33) | 39.1%(75) |
| 配当性向の低さ | 連結配当性向(26/3期)の逆方向 | 性向 30.1%(100) | 性向 52.2%(0) |
| 来期の増益見通し | 会社予想の利益成長率(27/3期) | +4.9%(0) | +37.4%(100) |
正規化の計算式(7社共通):相対値 =(その会社の値 − 7社の最小)÷(7社の最大 − 7社の最小)× 100。「配当性向の低さ」だけは 100 −(上の値)。7社=三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅・豊田通商・双日。元データ:各社の26/3期決算短信(2026年4月30日〜5月1日)、27/3期の予想は第1四半期決算短信(7/31〜8/6)。
| 軸 | 7社の最小(=0) | 7社の最大(=100) |
|---|---|---|
| 利益の大きさ | 1,036億円(双日) | 9,003億円(伊藤忠) |
| 資本を稼ぎに変える力 | 8.5%(三菱商事) | 14.6%(伊藤忠) |
| 財務の厚み | 29.9%(双日) | 42.1%(三井物産) |
| 配当性向の低さ | 性向 30.1%(住友商事) | 性向 52.2%(三菱商事) |
| 来期の増益見通し | +4.9%(住友商事) | +37.4%(三菱商事) |
三菱商事は利益の大きさと来期の増益見通しが外側、住友商事は資本を稼ぎに変える力と配当性向の低さが外側にあります。財務の厚み(自己資本比率)は三菱商事のほうが高めです。
同じ総合商社でも、利益の構造や財務の特徴は違います。形の違いは、事業の構成や配当の出方の違いを映していますが、1年の数字だけで、どちらが良いかは決められません。7社を並べた事業構成・過去5年の利益・配当方針は、別記事(総合商社7社の比較・番外編)にまとめる予定です。
—
配当は安心して持てそうか
1株配当の5年の推移は、前の節の数字のとおりです(会社IR・4分割後の換算)。
- 会社の方針は「総還元性向40%以上」と「累進配当(前期より減らさない・維持か増配)」。
- 2026年5月から、上限800億円の自己株式取得も進んでいます(2027年3月末まで)。
- 2026年3月期は、営業CF 8,135億円・投資CF −1,559億円(差し引き約6,576億円・私の計算)に対し、配当総額は1,796億円でした。
私が見ているのは、先ほどの「配当を維持する力」そのものです。累進配当という方針、30%前後の配当性向、営業CF。これだけで「安心」と言い切れるわけではないので、決算のたびに確認していきます。
取得時の利回りと、いまの利回りは別物です。私の取得単価818円に対して、27/3期の会社予想配当40円だと約4.9%。いまの株価(1,708円)から買う人にとっては約2.3%です。
—
弱点・気になるところ
- 最終利益の読みにくさ:26/3期の増益は主に税効果(+380億円)で、27/3期の第1四半期も税効果で最終利益が動きました。売却損益も含め、最終利益の増減は事業の勢いと分けて見ます。
- 自己資本比率の低下:40.0%→33.9%。短信の「資産、負債及び資本の概況」では、資産が2兆72億円増えた一方で(11兆6,312億円→13兆6,383億円)、自己資本(親会社持分)は4兆6,485億円→4兆6,286億円とほぼ横ばい(−199億円)でした。資産の増加要因は、営業資産の増加(貴金属リース取引に係る時価評価等)、円安の影響、現金及び現金同等物の増加。自己資本は、当期利益の計上や円安で増えた一方、SCSK株式の追加取得、配当金の支払、自己株式の取得で減っています。あわせて、ネット有利子負債は2兆6,725億円→3兆1,472億円(+4,747億円・SCSK株式の追加取得による増加)、ネットDER(ネット有利子負債÷自己資本)は0.57倍→0.68倍でした。つまり、比率が下がった主な理由は、分母の資産が増えたのに、自己資本が増えていないことです。この財務の動きが一時的か続くのかは、まだ判断できません。
- 資源・為替・景気の影響:商社は市況の波を受けます。四季報も、資源は非鉄が軸、と書いています。
—
自分なら今、持てるか/買うか(持ち続ける話と、新しく買う話は別)
① いま持っている株
平均取得単価 818円(分割後)
予想配当 40円 → 取得ベース約4.9%
持ち続けます。理由は先ほどの私の言葉のとおり、「長期保有が前提」だからです。株価が約2倍になったことは、売る理由にしていません。
② いま新しく買うなら
株価 1,708円(10/12時点)
予想配当 40円 → 約2.3%
「今なら配当から魅力が薄くなっているが、条件が揃えば買いたい」
配当だけで「魅力がない」と言い切っているわけではありません。
①と②は別の話です。①は「持っている理由」、②は「いまの価格で買う理由」。同じ会社でも、立場によって答えが変わります。
—
参考データ
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 26/3期 収益/税引前利益 | 7兆3,373億円/7,020億円 | 26/3期 決算短信 |
| 26/3期 営業CF/現金等 | 8,135億円/1兆54億円 | 同上 |
| 27/3期 利益予想/EPS | 6,300億円/132.54円(分割後) | 27/3期1Q決算短信 |
| 株式分割 | 2026/7/1 1株→4株 | 会社IR |
| 四季報(9/16作成) | 時価総額 約8.4兆円(総合商社4位)/四季報予想 27/3期 利益6,600億円・配当40〜42円 | 会社四季報(東洋経済) |
四季報の予想は会社予想(6,300億円)と異なります。比較に使うのは会社予想です。
📌 まとめ
- 住友商事は、割安で配当が高いと思って選んだ株。いまも長期保有が前提です。
- 売却を考えるのは「配当を維持する力そのもの」が弱くなったとき。一時的な減益は気にしません。
- 商社ばかりにならないよう、住友商事と三菱商事の2社に絞っています。7社の違いは別記事にまとめました。
- いまの株価から新しく買うなら、配当の魅力は以前より薄い。でも、条件が揃えば買いたい会社です。
比較しながら読むと、違いが見えやすいです
ほかの銘柄図鑑も見比べる →
関連記事
参考にした一次情報
- 住友商事 2026年3月期 決算短信(2026/5/1)
- 住友商事 2027年3月期 第1四半期 決算短信(2026/7/31)
- 住友商事 2024年3月期 決算短信(2024/5/2)
- 住友商事 IR 株式情報(株主還元方針・配当推移)
- 三菱商事 2026年3月期 決算短信(2026/5/1)
