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日本株の銘柄図鑑

大林組(1802)【株の銘柄図鑑】何で稼いでいる会社?

📋 この記事でわかること

  • 大林組(1802)が何を売って、どうやって稼いでいる会社なのか
  • 強み・弱点、景気への強さ、配当の安心感
  • 10年・20年と持つ意味がある会社か

「株の銘柄図鑑」シリーズです。PERや配当利回りといった数字を並べるだけでなく、「この会社はいったい何をして稼いでいるのか」を中心に、会社そのものを理解するための記事にしています。

大林組(1802)は現在は保有していません。週次のスクリーニングで上位に浮上してきたのをきっかけに調べてみた一社です。証券コード1802、東証プライム。ひとつずつ掘っていきます。

一言でいうと、どんな会社?

大成建設・清水建設・鹿島と並ぶ、最大手ゼネコンの一角です。関西発祥ながら首都圏でも大型建築・土木に実績があり、建設・土木業界で時価総額3位(120社中)の会社です。

何を売っていて、誰がお客さんなのか

売上の9割超は建設事業。オフィスビルや商業施設、インフラ(道路・トンネル・ダム等)といった大型建築・土木工事を、官公庁や民間の発注者から受注します。不動産開発事業も一部持っています。

海外展開にも力を入れており、2026年6月には豪州・英国・カナダで建築事業を展開するMultiplex社を子会社化。ジャカルタでは高速道路のコンセッション(運営権)事業にも参画し、建設事業のノウハウを活かした成長を図っています。

どうやって利益を生み出しているのか

工事を受注してから完工まで数年かけて、進行度合いに応じて売上・利益を計上していく「受注産業」です。単に工事をたくさん取るだけでなく、「受注した工事をきちんと利益に変えられるか」という採算管理が収益力を左右します。

2026年3月期は売上高2兆5,863億円・営業利益1,947億円・純利益1,738億円と、いずれも過去最高を更新。営業利益は前年比+36.6%でした。さらに直近の2027年3月期第1四半期(2026年8月7日発表)では、経常利益が前年同期比+98.2%という大幅増益。国内建築事業の採算改善が主因で、「工事を取る」から「工事で儲ける」への体質転換が進んでいる印象です。

大林組(1802)EPS推移

強みは何か

直近の会社業績修正が上方4・下方0という実績が、この会社の勢いを物語っています。財務面でも自己資本比率40.0%・ROE14.4%(予12.5%)と、ゼネコンとしては健全な水準です。

先ほどの1Qの大幅増益も踏まえると、会社の通期予想自体がやや保守的に置かれている可能性があり、今後の進捗次第では上方修正の余地もありそうです。海外展開(Multiplex社の子会社化)も、国内の建設需要の変動を分散する材料になります。

大林組(1802)指標サマリー

弱点・リスクは何か

会社の2027年3月期の通期計画は、経常利益で前期比▲10.4%の減益予想です。前期に追加工事の獲得が進んだことの反動減という説明ですが、1Qの好調さとのギャップが気になるところで、「保守的な期初予想なのか、後半に本当に息切れするのか」は今後の四半期決算で見極める必要があります。

受注産業ゆえに、工事の進行度合いによって四半期ごとの数字が振れやすい点、そして建設業界全体が抱える人件費・資材費の上昇圧力も、引き続き注視すべきポイントです。

景気に強いか、弱いか

建設・インフラは公共投資や民間の設備投資と連動しやすく、業種としては景気敏感型に近い面があります。ただし大型プロジェクトは複数年契約であることが多く、受注残(2.9兆円・前期比+5%)が積み上がっている分、短期的な景気変動がすぐに業績を直撃するわけではありません。

配当は安心して持てそうか

2024年3月期75円→2025年3月期81円→2026年3月期88円→2027年3月期予94円と、着実な増配が続いています。配当性向は年によって変動が大きいものの(38.8%〜71.6%)、配当そのものの絶対額は右肩上がりです。DOE5.1%、予想配当利回りは3.09%(2026年8月時点)。

大林組(1802)配当推移

10年、20年と持つ意味がある会社か

社会インフラを作る事業は今後も必要とされ続けるはずですが、国内では人口減少による新設需要の減少懸念と、老朽インフラの更新需要増という両面があります。海外展開の成否が、今後の成長ストーリーを左右しそうです。

自分なら持ちたいと思うか

業績◎・財務○・配当○・成長性○・株価△、というのが今の大林組に対する評価です。「割安株」ではありませんが、業績を考えれば無茶苦茶高いという水準でもありません。

面白いのは、会社の通期計画が減益予想なのに1Qが+98.2%の大幅増益だったこと。これが「1Qだけ良かった」のか、「保守的な予想を置いていて通期で上振れする」のかを見極める局面だと思っています。もし2Q以降も採算改善が続けば、通期予想の上方修正も十分あり得ます。

もうひとつ、これは大林組というより建設業界ぜんぶに関わる話なんですが——ホルムズ海峡が封鎖されればナフサが不足して資材価格が高騰するし、深刻な人手不足は労務費をじわじわ押し上げてきます。こうした建設業界全体にのしかかるコスト負担が、いま正直いちばん気に掛かっているところです。前期比+98.2%だった1Qの採算改善が、このコスト上昇を吸収してなお伸びる実力なのかどうかは、まだ見極めている最中です。

「良い会社だからいくらでも買う」というより、今は買い場を考える段階。長期の配当投資を前提にするなら、株価が3,000円前後まで来たところを一つの監視ラインとして置いておきたいと思っています。

参考データ(2026年8月時点)

指標 数値
配当利回り(会社予想) 約3.09%
PER(予想) 13.31倍
PBR 1.68倍
ROE(実績・予想) 14.4%(予12.5%)
自己資本比率 40.0%
会社業績修正 上方4・下方0
時価総額 約2兆1,024億円

※数値はIRBank(irbank.net)・東洋経済会社四季報(2026年6月17日作成)掲載の情報をもとに作成(2026年8月時点)。会計基準・情報源により数値が異なる場合があります。投資判断は自己責任でお願いします。本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。