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日本株の銘柄図鑑

KDDI(9433)【株の銘柄図鑑】何で稼いでいる会社?

📋 この記事でわかること

  • KDDI(9433)を、なぜ2,800円・100株で買ったのか(PER・PBRで見た割安感の判断基準)
  • 「子会社の不正会計」というニュースを見た時、自分が何を考えたか
  • これから何が起きたら、この会社を手放すか

「株の銘柄図鑑」シリーズです。会社の数字を並べるだけの記事にはしたくないので、「自分がこの会社をどう見て、どう判断したか」を残しておくための記事にしています。

KDDI(9433)は、ポートフォリオを見返していて「あ、通信セクターがぽっかり空いてる」と気づいて、埋め先を探していてたどり着いた一社です。2026年8月13日に100株、2,800円で買いました。証券コード9433、東証プライム。

なぜ2,800円だったのか

KDDIを見始めた時点でPER15倍前後・PBR2倍前後というのが、自分の中では「割高でも割安でもない、普通に検討できる水準」でした。通信キャリアのような安定業種でPERが10倍を大きく割り込んでいたら「何かまだ知らない懸念があるのでは」と逆に警戒しますし、逆に20倍を超えていたら「期待が先行しすぎている」と感じて見送っていたと思います。

そのラインに収まっていたのが2,800円近辺だったので、そこで指値を置きました。配当利回りで見ても約3.0%と、通信という安定事業にしては妥当な水準だと感じたのも後押しになっています。「株価が下がるのを待って底値を狙う」というより、「割安・割高の目安レンジに入ってきたら、様子を見すぎずに動く」というのが自分のスタンスに近いです。

私はこの会社をこう見ています

「通信会社」というより、正直「生活インフラを握っている会社」だと思っています。auの携帯電話が入口で、そこから金融・エネルギー・法人向けIoTまで、生活と法人の両方にじわじわ接点を広げているんですよね。通信サービス業界の時価総額では3位(103社中)です。

何を売っていて、誰の財布から出ているお金なのか

主力はau・UQ mobileの携帯電話通信サービス。契約するのは個人のお客さん(BtoC)で、auショップやオンラインで契約し、毎月の通信料を払い続けます。近年はauじぶん銀行・au損害保険などの金融、auでんきなどのエネルギー、法人向けのIoT関連サービスにも力を入れていて、「通信をきっかけに生活・法人の両方との接点を広げる」戦略を進めています。子会社auフィナンシャルホールディングスは東証上場の準備も進めているそうです。

どうやって稼いでいるのか

毎月の通信料という、いわばサブスクリプション型の安定収益が土台なんですよね。基地局・回線・5G設備・保守・店舗など継続的な設備投資は必要な業種ですが、契約者が使い続ける限り収益が読みやすいビジネスモデルです。2026年3月期は売上高6兆719億円、連結営業利益1兆991億円、親会社帰属利益7,071億円でいずれも過去最高を更新しました。

KDDI(9433)EPS推移

強みとして見ているところ

一度契約すると乗り換えの手間がハードルになる、いわゆるスイッチングコストの高さ。24期連続増配という実績(2027年3月期は84円予定で25期連続増配となる見込み)、ROE14.0%(予14.4%・四季報ベース)という資本効率の高さを見て、正直かなり安心材料になりました。3,000億円を上限とする自己株取得も決定済みで、2026年8月6日時点で累計約2,605億円まで進んでいます。大株主には京セラ(13.4%・創業家系)・トヨタ自動車(8.6%)が名を連ねていて、株主構成も安定しています。

KDDI(9433)指標サマリー

弱点・リスクをどう受け止めたか

買う前、正直いちばん引っかかったのが子会社ビッグローブとその子会社ジー・プランで発覚した架空循環取引の問題です。2026年3月31日に公表された特別調査委員会の調査報告書によると、2018年8月から2025年12月まで7年以上にわたって広告代理事業の取引が繰り返され、KDDI連結財務諸表で訂正対象となる売上高は累計2,461億円、外部に流出した資金は329億円にのぼるとされています。社長が引責辞任するほどの事態で、ニュースで見た瞬間「え、これ買っていいのか」と一瞬止まりました。

ただ落ち着いて確認すると、これは広告代理事業という一部門で起きたガバナンスの問題であって、本業の通信事業そのものが傾いた話ではありません。実際、2026年3月期の業績自体はむしろ過去最高を更新しています。「会社が壊れた」というより「ガバナンス面に大きな傷がついた局面」と自分の中で整理して、買う判断をしました。今後の再発防止・ガバナンス強化の進捗は引き続き見ていくつもりです。

財務面では、自己資本比率が26.6%(四季報ベース)とやや低め。通信インフラは基地局・回線という巨大な設備投資が前提のビジネスなので、有利子負債(4兆8,681億円)を活用する構造そのものは業種特性として理解しておく必要があるかなと思っています。もうひとつは政策・規制リスク。携帯料金は政府による値下げ圧力にたびたびさらされてきた業界で、格安SIM(MVNO)との価格競争も続いています。景気とは別の軸で常につきまとうリスクだと見ています。

景気に強いか、弱いか

通信は生活必需インフラなので、不景気になったからといって解約する人はそう多くありません。ディフェンシブ性は高い業種だと感じています。ただし前述の政策リスクは景気サイクルとは無関係に発生するので、「景気に強い=安泰」とは言い切れない面もあります。

配当をどう見ているか

2027年3月期は84円・配当性向42.8%を予定(DOE6.2%)、これが実現すれば25期連続増配です。取得価格2,800円ベースでの利回りは約3.0%。「大きく成長する会社」というより「安定して稼いで、安定して増配して、余ったお金も自社株買いで株主に返す」タイプの会社だと感じています。

KDDI(9433)配当推移

何が起きたら、この会社を手放すか

今のところ「持ち続ける」前提でいますが、自分の中で「ここが崩れたら見直す」というラインは持っておきたいと思っています。

ひとつは、連続増配という株主還元方針そのものが変わったとき。減配や自社株買いの取りやめは、この会社の「稼いだ分は株主に返す」という核が揺らいだサインだと受け止めるつもりです。

もうひとつは、今回のような架空循環取引・ガバナンス問題が単発では終わらず、繰り返し発覚するようなとき。1回は「傷」で済んでも、2回・3回と続くなら、それは経営体質の問題として重く見直す必要があると思っています。

逆に言うと、業績が多少足踏みしても、配当方針とガバナンスさえ大きく崩れなければ、慌てて売る理由にはならないというのが今の自分のスタンスです。

10年、20年と持つ意味がある会社か

通信は今後も生活に欠かせないインフラであり続ける可能性が高い一方、5Gから次の通信規格へと世代交代のたびに設備投資が発生し続ける業種でもあります。「使われ続ける」ことと「投資負担が続く」ことは表裏一体、というのがこの会社を長く見ていくうえでの自分なりの視点です。

自分なら持ち続けられるか

PER・PBRの割安感を基準に2,800円で買えたことは、今のところ悪くなかったと思っています。3.0%という利回り自体はものすごく安いわけではありませんが、通信という安定事業・高いキャッシュ創出力・連続増配の実績・自社株買いという株主還元方針・比較的低い景気敏感性を考えると、長期で持つ高配当株として十分に許容できる価格だったかなと。

ただ、KDDIは株価がどこまでも上がっていくタイプの会社ではありません。配当と緩やかな利益成長、自社株買いによってじわじわ株主価値を積み上げていくタイプです。だから「良い会社だから今すぐ追加購入」ではなく、まずは2,800円で100株を確保し、次に市場全体が下げたときに、もう一段安いところで買い増しを考える——というくらいの距離感がちょうどいいと思っています。

子会社の不正会計問題は気になる材料ですが、本業そのものが崩れているわけではないという理解です。「沈んでも仕方がないと思えて、それでも心情的に安定して持っていられるか」という視点で見ると、JTとはまた違った意味で「退屈だけど安心して持てる」銘柄だと感じています。

参考データ(2026年8月時点)

指標 数値
配当利回り(会社予想・27/3期84円ベース) 約3.0〜3.1%
PER(連結) 15.24倍
PBR(連結) 2.1倍
ROE(連結・予想) 14.0%(予14.4%)
自己資本比率(連結・四季報) 26.6%
連続増配年数 24期(27/3期は25期予定)
自社株取得枠 上限3,000億円(26/8/6時点で約2,605億円取得済み)
時価総額 約11.2兆円

※業績・配当・自社株取得のデータはKDDI公式IR情報の決算資料・ニュースリリース、PER・PBR・ROE・自己資本比率等はIRBank(irbank.net)・東洋経済会社四季報(2026年6月17日作成)をもとに作成(2026年8月時点)。ビッグローブ・ジー・プランにおける架空循環取引については、KDDI特別調査委員会の調査報告書(2026年3月31日公表)に基づき記載。会計基準・情報源により数値が異なる場合があります。投資判断は自己責任でお願いします。本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。