📋 この記事でわかること
- 上組(9364)が何を運んで、誰から稼いでいる会社なのか
- 企業スコア総合8.0(業界平均5.7)の中身と、「割安性3.0」というひっかかり
- 20年以上減配なし・10年以上連続増配という配当実績を7項目でチェック
- 私がいくらで買い、いまどう見ているか(買い増しを見送った話つき)
「株の銘柄図鑑」シリーズです。PERや配当利回りといった数字を並べるだけの紹介ではなく、「この会社はいったい何をして稼いでいるのか」を中心に、会社そのものを理解するための記事にしています。
証券コード9364、東証プライム、倉庫・運輸関連セクター。神戸港を拠点に港湾荷役をやっている会社で、2026年5月に100株だけ保有しています。ひとつずつ掘っていきます。
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なぜ4,999円で買ったのか
2026年5月18日、私は上組を100株、単価4,999円で買いました。投資額は約50万円。SBI証券の特定口座です。
巨大なコンテナ船が着岸して、クレーンが規則正しく荷物を吊り上げていく——神戸港でよく見るあの光景の裏側を、100株だけですが持っている、という感覚です。
買った理由は、派手な値上がり期待ではありません。3つあります。
- 輸出入という経済の土台に位置する事業で、不況でも貿易量がゼロになることは考えにくい(景気耐性)
- 自己資本比率が約8割という財務の硬さ。借金に頼らず、キャッシュを溜め込める体質
- 予想配当利回りは4%前後。しかも20年以上減配なし、直近10年以上は連続増配という長い実績がある
「地味だけど、インフラの土台に立っている会社を、財務の安心感込みで長く持っておきたい」——ポートフォリオの守りの一枠として選びました。
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私はいま、この会社をこう見ている
見立てを一言でいうと、こうです。上組は港湾物流という強固な基盤を持ちながら、海外物流やM&A、新エネルギー物流といった成長分野への投資を進めている会社。短期的には減益が重しになりますが、長期では、その安定収益を成長投資へうまくつなげられるかに期待したい。派手さはないけれど、土台の強さを生かしてじっくり成長を狙える——そう見ています。
取得単価4,999円に対していまは小幅な含み損ですが、値上がりを狙って買った銘柄ではないので、株価の上下そのものには動揺していません。買った判断そのものは、いまも妥当だと思っています。
ただ、それとは別に、2026年9月に「買い増しはしない」と判断しました。同じ会社をもう100株足すかどうかを真剣に考えて、見送った、という話です。理由は3つあります。
- ROEが7%台後半で、自分の品質ラインに届かない。「効率よく稼げているか」の目安にしている8%を、ここ数年ずっとわずかに下回っています
- 増配のペースが、利益の伸びを上回っている。配当性向は10年前の20%台から直近は50〜60%台まで上がってきていて、会社自身も「今後は70%が目安」としています。稼ぐ力の伸び以上に、配当を手厚くしてきた面があるということです
- 直近の利益は減益に転じる見通し。1株利益(EPS)は前期に過去最高を更新したあと、次期は反動で減益予想です
ひとつ、気にしていること。
配当性向が高いということは、裏を返せば「これ以上、大きく再投資する先が乏しい」というサインでもあり、成長が鈍ったときの減配リスクと背中合わせです。過去にジャックスという会社で「増配は続いていたのに、利益がついてこず失速した」パターンを見ているので、ここは慎重に見ています。
結論としては、持ち続けるけれど、買い増しはしない。もし追加するなら、株価4,400円前後(利回りで約4.8%)まで下りてくるのを待つ価値がある、と考えています。増配ペースの鈍化と、海外物流・新エネルギー物流といった新規投資の採算——この2つが、私の監視ポイントです。
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一言で言うと、どんな会社?
神戸港を拠点に、船と陸をつなぐ港湾荷役・物流の大手です。創業は1867年、会社としての設立が1947年、1971年に上場。神戸港と東京港に自前のコンテナターミナルを持ち、港湾総合運送で業界のリーディングカンパニーです。東証プライムの倉庫・運輸関連業種のなかでも上位の規模(時価総額で4位/44社中)に位置します。
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何を運んでいて、誰がお客さんなのか
スーパーの棚に並ぶ輸入食品も、工場に届く部品も、多くは一度どこかの港を経由しています。船が着いて、コンテナが降ろされて、倉庫に運ばれて、トラックや鉄道に積み替えられる——この「船から陸へ」の一連の作業を、荷主企業(輸出入業者やメーカー)から請け負っているのが上組です。
お客さんは個人ではなく企業です。海外から原材料や製品を輸入する会社、逆に輸出する会社が、荷役・保管・輸送というインフラ機能そのものにお金を払っています。連結事業のうち物流が売上の9割弱を占めます。中国・シンガポール・タイなど海外約30拠点で国際物流のネットワークも広げています。
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どうやって利益を生み出しているのか
荷物そのものを仕入れて売っているわけではありません。荷物を「動かす・預かる」という作業に対して、荷役料・保管料・運送料という形で対価を受け取るビジネスモデルです。直近の本決算では売上高・利益ともに過去最高を更新しました。営業利益率も、10年前の9%台から直近は12%前後へと、じわじわ改善しています。

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強みは何か
まず、財務が硬い。自己資本比率は約8割、有利子負債は総資産に対して十分小さく、営業キャッシュフローは10年以上ずっと黒字。キャッシュを溜め込める体質です。
SBI証券の企業スコアでも、これは裏付けられています。総合8.0(業界平均5.7)と、宅配・郵便・航空貨物輸送を含む同業内でも上位。特に収益性10.0(平均5.6)・安定性9.0(平均7.1)が際立って高く、「稼ぐ力」と「潰れにくさ」の両方が評価されている形です。

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弱点・リスクは何か
一方で割安性は3.0(業界平均5.5)と低め。予想PERは18倍前後で、この会社の過去10年平均(約14倍)より高く、同業他社の9倍前後と比べると2倍近い。財務と実績が評価されて、すでに「質のいい会社」としての値段がついている状態です。「安く買える」局面ではありません。
成長性という点でも、国内の港湾物流は成熟産業で、伸びしろは限られがちです。EPSはこの10年で2倍以上に増えてきましたが、爆発的に伸びるタイプではありません。海外拠点を増やしている分、為替や現地の政治・規制の変動にさらされる範囲も広がります。専門性が高く人手に頼る現場なので、高齢化や採用難がじわじわコストを押し上げる可能性もあります。
キャッシュフローにも目を配っておきたいところです。直近は新しい物流センターの建設など大型の設備投資で、投資キャッシュフローが稼いだ営業キャッシュフローを上回る年もありました。攻めの投資なのか、採算の合わない多角化なのかは、決算のたびに見極める必要があります。
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景気に強いか、弱いか
輸出入という経済活動の土台に位置する事業のため、不況で貿易量が減ることはあっても、完全にゼロになることは考えにくい業種です。分類上も「ディフェンシブ銘柄」に位置づけられます。加えて、バイオマス燃料の保管・輸送や新エネルギー物流といった新しい分野にも手を広げ始めています。物流一本足からの分散が進んでいる点は、景気耐性という意味でもプラス材料です。ただし前述のとおり、この新規投資の採算そのものは、当面の監視ポイントでもあります。
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配当は安心して持てそうか
数字だけでなく、7項目のチェックリストで見ていきます。
| 項目 | 数値 | コメント |
|---|---|---|
| ①配当利回り(予想) | 4%前後 | 増配が続いてきた効果で、この会社の過去10年平均(2.4%前後)を上回る水準 |
| ②連続増配・減配なし | 10年以上連続増配/20年以上 減配なし | 2016年26円→2025年130円と、この10年で約5倍。1株配当の額は長期でみると約8倍 |
| ③累進配当方針の有無 | 明言なし | IR資料では「安定配当を継続」という一般的な表現のみ。DOEの数値目標も非開示 |
| ④DOE(株主資本配当率) | 5.3% | 26/3期実績 |
| ⑤配当性向 | 直近50〜60%台/会社は「今後70%が目安」 | 10年前は20%台。ここまで上がると、ここから先の増配ペースは鈍りやすい |
| ⑥配当÷営業キャッシュフロー | 6割前後 | 稼いだ現金のうち、そこそこの割合を株主還元に回している |
| ⑦配当÷フリーキャッシュフロー | 年によって算出しづらい | 大型の設備投資でフリーキャッシュフローがマイナスになる年がある。単年で判断せず複数年の推移を監視 |

「余裕をたっぷり持って払っている」というより「しっかり稼いだ分を、かなり手厚く還元している」水準です。20年以上減配なし・10年以上連続増配という実績は立派ですが、配当性向が「70%目安」まで上がってきたいま、ここから先の増配ペースは鈍る可能性がある——そう見ておくのが無難です。
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10年、20年と持つ意味がある会社か
爆発的に伸びる株ではありません。ただ、輸出入インフラの土台にいる立ち位置と、約8割の自己資本比率という財務の硬さが崩れない限り、長期で「守りの一枠」として持つ意味はある、と考えています。逆に、増配ペースが利益の伸びに見合う形へ落ち着いてくれば、買い増しの再検討もあり得ます。
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自分なら持ち続けられるか
取得単価4,999円に対して、直近は小幅な含み損に転じている局面もありました。それでも動じないのは、値上がりを狙って買った銘柄ではないからです。「輸出入というインフラの土台に立っている会社を、財務の安心感込みで長く持っておきたい」という買った理由は、いまも変わっていません。持ち続けます。ただし買い増しはしない——この距離感で付き合っていく銘柄です。
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参考データ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 予想配当利回り | 4%前後(過去10年平均は2.4%前後) |
| 予想PER | 18倍前後(過去10年平均 約14倍/同業 約9倍) |
| PBR | 1.4倍前後 |
| ROE | 7%台後半(8%の一般的な合格ラインにわずかに届かず) |
| 営業利益率 | 12%前後(10年前は9%台) |
| DOE(株主資本配当率) | 5.3% |
| 配当の実績 | 10年以上連続増配/20年以上 減配なし |
| 自己資本比率 | 約79% |
| 時価総額 | 5,000億円超(倉庫・運輸関連の業種内で上位) |
データは東洋経済「会社四季報」2026年6月17日号、SBI証券の企業スコア、および各種の銘柄分析資料(配当・EPS・ROE等の推移)を参照。株価連動の指標は執筆時点のもので、その後変動します。
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📌 まとめ
- 上組(9364)は神戸港を拠点とする港湾荷役・物流の大手。売上の9割弱が物流事業で、分類上はディフェンシブ銘柄
- 強みは約8割の自己資本比率と、企業スコア収益性10.0・安定性9.0という「稼ぐ力」「潰れにくさ」
- 弱点は割高な株価(予想PERは同業の約2倍)と、次期の減益見通し、成熟産業ゆえの成長の乏しさ
- 配当は20年以上減配なし・10年以上連続増配。ただし配当性向が「70%目安」まで上がり、ここからの増配ペースは鈍る可能性
- 私は2026年5月に100株を取得。守りの一枠として保有継続、ただし買い増しは見送り(押し目なら4,400円前後で再検討)
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参考にした一次情報
– 上組 IR情報(投資家の皆様へ)
– 東洋経済「会社四季報」2026年6月17日号(9364 上組)
– SBI証券 企業スコア(2026年8月時点)/EPS・配当推移はIRBank(irbank.net)の独立データとも突合済み
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本記事は情報提供・個人の記録を目的としており、特定の銘柄・商品の購入を推奨・勧誘するものではありません。掲載している数値は記事作成時点のものであり、将来にわたって同じ水準が続くことを保証するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
