- 私が「日本株の銘柄図鑑」を作っている理由
- 一度調べたことを、更新しながら使い続ける意味
- 自分用の記録を、あえて公開している理由
「あれ、この会社、前にも調べたよな……」
株を調べていると、たまにこうなるんですよね。
事業の中身を見て、業績と財務をたどって、配当が続きそうかを考える。それなりに時間をかけたはずなのに、しばらく経つと「どこが良くて、何が引っかかったのか」がぼんやりしてくる。
そしてまた、同じところから調べ直す。
これがもったいないな、と思ったんです。我ながら、同じ坂を二回登っているような感覚でした。
一度調べたことを残して、次はその続きから考えられるようにしたい。
それが、このブログで「日本株の銘柄図鑑」を作っている理由です。
—
調べた時間を、その場限りにしたくなかった
株を買えば、取得単価と株数は口座に残ります。
でも、「なぜこの会社を選んだのか」「何を期待していたのか」「どこが不安だったのか」は、どこにも残りません。
買わなかった会社なら、なおさらです。記憶からきれいに消えます。
私は実際にこれで手間を増やしたことがあります。エーアイテイー(9381)と東計電算(4746)という2社を調べたときの話です。
どちらも一度ちゃんと調べて、「今回は見送り」という結論まで出していました。エーアイテイーは中国の合弁会社への依存度が気になる。東計電算は一時的な特別利益で配当利回りが高く見えているだけで、地力の利回りはそこまで高くない。そこまで考えて、見送っていたんです。
ところが、その結論を書いた場所がバラバラで、数週間後にまた候補として出てきたとき、すぐに取り出せませんでした。
結局、ほぼゼロから調べ直しました。そして引っかかったポイントも、前とほぼ同じ。
「これ、前も同じこと考えたよな」と気づいたときの、あの脱力感。
記録は、あるだけではダメで、必要なときに取り出せる形になっていないと使えないんだな、と痛感しました。
だから、会社ごとに「情報」と「自分の判断」をひとまとめにして、あとから見返せる場所を作ることにしました。
銘柄図鑑の最初の読者は、未来の自分です。
—
会社の数字と、自分の見方をセットで残す
企業の数字そのものは、決算資料や証券会社のページを見れば分かります。そこは他の人が書いたものでも足ります。
私の図鑑に足したいのは、そこに「私はこの会社をどう見ているか」を重ねることです。
| 残しておきたいこと | 見返すときに効いてくること |
|---|---|
| 何で利益を得ている会社なのか | 事業の土台をすぐ思い出せる |
| 業績・財務・配当の状況 | 前に調べた時点と比べられる |
| なぜ買った、あるいは見送ったのか | 当時の判断にそのまま戻れる |
| 何を期待して、何を心配していたか | 次に確認すべきポイントが分かる |
「良い会社だと思う」で止めない。どこを良いと思ったのかまで書く。
「今は買わない」なら、値段が理由なのか、それとも事業や経営に引っかかることがあるのか、まで書く。
そこまで残しておくと、あとで株価が動いたときに、値段だけに気を取られずに考え直せます。過去の自分と相談できるような感じです。
—
調べる → 残す → 見返す → また調べる
やっていることを図にすると、こういう循環です。
大事なのは、いちばん右の「判断する」で終わらないことです。
会社の状況が変わったら、また左に戻る。ただし今度は白紙からではなく、前回の続きから。
この点線の矢印を短くしたくて、図鑑を作っている、と言ってもいいかもしれません。
—
作って終わりじゃなく、更新しながら使う
会社は変わります。
業績も、配当方針も、事業を取り巻く環境も動く。それを見て、私の評価が変わることもあります。
だから図鑑も、一度書いたら完成、というつもりはありません。
決算や大きな発表のあと。買い増しを考えたとき。何か気になることが出てきたとき。そのつど調べ直して、更新しながら使っていくものだと思っています。
ただ、ここでひとつ決めていることがあります。
過去の判断を消して、はじめから正しかったように整えるのはやらない。
「当時はこう考えた。今はここが変わった」——この差分が見えるように残したい。
自分の勘違いに気づいたときも、こっそり直すのではなく、「ここを間違えていた」と分かる形で訂正して、次の判断につなげる。
その積み重ねで、自分にとって使いやすい図鑑に育てていくつもりです。
「持ち続けること」と「買い増すこと」は別の判断だ、という話も別の記事に書きましたが、ああいう判断こそ、あとで見返せる場所に残しておく価値があると思っています。
—
自分のために作るなら、誰かにも使ってほしい
もともとは、自分が同じことを何度も調べずに済むように始めたものです。
でも、せっかく時間をかけて整理するなら、同じ会社が気になっている人にも使ってもらえたら嬉しい。
私と同じ結論になる必要は、まったくありません。図鑑に載っているからといって、それが「今が買いどき」という意味でもありません。
それに、すべての記事をいつも最新にできるわけではないんですよね。数字の時点や更新日を確かめて、必要なら会社の最新資料も見てもらえたらと思います。
—
調べたことが、次の自分と誰かにつながるように
一度調べたことを、図鑑に残す。
会社の変化に合わせて更新して、自分の投資判断に使う。
そしてその記録が、誰かの調べる時間を少し短くしたり、見落としに気づくきっかけになったりする。
そういう場所にしていきたいと思っています。
まず自分のために、ちゃんと使えるものを作る。どうせなら、それを人にも役立ててもらう。
「日本株の銘柄図鑑」は、その気持ちで続けています。よかったら図鑑の一覧ものぞいてみてください。私がどんな目線で会社を見ているかは、このブログについてにもまとめています。
- 一度調べたことが取り出せないと、同じ会社を何度も調べ直すことになる(実際にやりました)
- だから「会社の数字」と「自分の見方・買った/見送った理由」をセットで残している
- 図鑑は作って終わりではなく、会社の変化に合わせて更新しながら使う。過去の判断は消さず、差分が見える形で直す
- 最初の読者は未来の自分。ついでに、同じ会社が気になっている人の入口にもなれば嬉しい
関連記事
免責事項:本記事および銘柄図鑑は、筆者個人の投資経験・考え方を記録したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の内容・数値は執筆時点のもので、正確性・完全性を保証しません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

